黒死牟戦の結末をさらに悲痛なものにしたのが、時透無一郎と不死川玄弥の「同時死亡」という残酷な現実でした。
上弦の壱が灰となって崩壊した直後、現場に残されたのは、胴体を切断され物言わぬ骸となった14歳の少年と、鬼の肉を喰らっていた代償として身体が縦に裂け、徐々に塵となって消えゆく16歳の少年の姿でした。悲鳴嶼行冥は無一郎の亡骸の前に跪き、そっと羽織をかけ、「お前たちのおかげで勝てた」と涙を流しながらその瞼を閉じました。
一方で、兄・不死川実弥は消えゆく玄弥にすがりつき、「神様頼む、弟を連れて行かないでくれ」と絶叫します。鬼殺隊という組織の中で、家族を奪われ、家族のために戦い抜いた若い二つの命が、同じ戦場で、ほぼ同時に永遠の眠りについた瞬間でした。この現場の惨状は、敵を討ち果たした勝利の歓喜を完全に吹き飛ばし、戦争の無慈悲さを読者の脳裏に刻み込みました。