赤味噌と八丁味噌の違いは?製法・味・Gi騒動までプロが徹底解説

赤味噌と八丁味噌の違いは?製法・味・Gi騒動までプロが徹底解説

赤味噌と八丁味噌の違いは?製法・味・Gi騒動までプロが徹底解説とは一体何なのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。

八丁味噌を語る上で欠かせないのが、岡崎城の西側で数百年にわたり看板を守り続ける老舗2社、「合資会社八丁味噌(カクキュー)」と「株式会社まるや八丁味噌」の存在です。両社が実践する「愛知県岡崎市の伝統製法」は、機械化された現代の醸造現場とは一線を画しています。

巨大な六尺杉桶(高さ約2メートル)に大豆麹と食塩水を仕込み、その上に職人が巨大な天然の川原石を円錐状に積み上げていきます。その重量は桶ひとつあたり約3トンから3.5トン。地震でも崩れないよう絶妙なバランスで手積みされた石の圧力と、岡崎の厳しい寒暖差の中で、空調管理に頼らず「二夏二冬(2年以上)」熟成させます。大豆の水分を極限まで減らして仕込むため、桶の中は固く、長期の熟成を経ることで濃厚な黒褐色のペーストへと変化します。

しかし、この本物の技術を巡って農林水産省の地理的表示保護制度(GIマーク)を舞台にした大きな対立が生じました。2017年、農水省は県域全体の「愛知県味噌溜醤油工業協同組合」が申請した基準(ステンレスタンク使用や最短1年熟成を含む基準)を「八丁味噌」としてGI登録しました。これにより、伝統的な木桶仕込みと2年熟成を守り抜いてきた発祥の地の老舗2社(カクキュー・まるや)が、制度上「八丁味噌」を名乗れなくなるという逆転現象が発生したのです。

老舗2社は処分の取り消しを求めて提訴し、法廷闘争は最高裁判所まで争われましたが、上告棄却となり司法判断としては確定しました。しかし、伝統産業を守る地域住民や料理界からは「効率を優先した近代製法と、歴史的な手仕事を同列に扱う制度設計の瑕疵ではないか」という疑問の声が今なお根強く上がっています。現在、消費者が「本物の伝統木桶仕込み」を求める場合、パッケージのGIマークの有無だけでなく、製造元が岡崎の老舗であるか、伝統製法で作られているかを確認する眼識が求められます。

小林 直樹
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小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。