株式会社吉野家の代表取締役社長である河村泰貴氏が『カンブリア宮殿』などの経済番組で語ってきたように、牛丼チェーンの歴史は「速さ」「安さ」「旨さ」の極限追求であった。しかし現在、外食産業が直面しているのは、パーソナライズされた顧客体験の提供という新たなフェーズだ。
かつては職人肌の店員と常連客の間で交わされる隠語に近かった特殊注文は、デジタル券売機やアプリ注文の導入によって一般化された。ファストフードの現場において、オペレーションのスピードを維持しながら細かな好みに応える技術革新が進んでいる。
画一的な味の提供から、顧客一人ひとりの身体状況や好みに寄り添う柔軟な姿勢へ。つゆ抜きの定着は、日本の外食企業が築き上げた高度なオペレーション能力の証左でもある。