静岡県の農家に生まれ育った志茂田景樹は、地元の上級学校を経て名門の早稲田大学政治経済学部へと進学した。しかし、ストレートなエリートコースを歩むことはなかった。大学生活の途中で挫折を経験し、中退を選択。ここから彼の波乱万丈な漂流生活が幕を開ける。
社会に出た彼を待っていたのは、想像を超える過酷な現実だった。保険の営業マン、調査員、週刊誌の記者、さらには都内の夜を走り抜けるタクシー運転手まで、経験した職種は実に40種類以上に及ぶ。夜間のハンドルを握りながら都会の浮き世を観察し、合間を縫って原稿用紙に向かう日々。この泥臭い現場体験と人間模様の観察こそが、後に花開く作家としての強靭な骨格となったのだ。