吉本新喜劇の歴史を語る上で欠かせないのが、舞台の中心として君臨してきた歴代座長たちの存在感です。それぞれの座長が自身のキャラクターを極限まで投影したギャグを確立し、劇場の空気を支配してきました。
辻本茂雄が演じる名物キャラクター「茂造じいさん」は、数々のギミックと口癖で一時代を築きました。代表格である「許してやったらどうや」はもちろん、以下のような多彩な定番ネタが舞台を彩ります。
【茂造じいさんの代表的ギャグ一覧】
・「許してやったらどうや」:修羅場を収めるフリをして相手を突き放す定番のスカシ。
・「つまみ食い&ストローアクション」:舞台上の食べ物を勝手に平らげ、尋常ではない吸引力を見せる。
・「ロープトラップ&ツッコミ階段」:共演者を物理的にトラップへ誘導し、派手に転倒させるアクション芸。
・「アンタ誰?…知らんがな!」:初対面の相手に自己紹介を促しておきながら一瞬で切り捨てる暴挙。
一方、異色の存在感を放ったのが小籔千豊です。それまでの新喜劇の伝統であった短いフレーズの連発とは対照的に、「長文の説教フレーズ」を武器に新風を吹き込みました。相手の非常識な行動に対して論理的に詰め寄り、「おい、誰が〇〇じゃ」「お前それ本気で言うてんのか?」と真顔でまくし立てる独特の毒舌は、現代的なシニカルさと新喜劇のコテコテ感を融合させた最高峰の話術として評価されています。