日本の伝統芸能界において、圧倒的な存在感を誇るのが「成田屋」こと市川團十郎家だ。江戸歌舞伎の祖とされる初代からの系譜は単なる一子相伝ではない。実弟や養子、さらには他家からの養子縁組が幾重にも重なり合い、現在の十三代目市川團十郎へと受け継がれている。
興味深いのは、成田屋と「高麗屋」こと松本幸四郎家の太い絆だ。歴史を紐解けば、十一代目市川團十郎と八代目松本幸四郎(後の初代松本白鸚)は実の兄弟であり、七代目松本幸四郎から枝分かれした血統である。現在、十代目松本幸四郎として舞台に立つ彼もまた、成田屋の血を色濃く引く一人だ。表向きは別々の屋号を掲げながらも、根底では同一の血脈が脈々と流れている。