若い頃に築き上げた強固な演技の土台は、後に映画『64-ロクヨン』などの超大作で結実することになる。警察組織の摩擦と個人の葛藤を描いた同作で魅せた圧倒的な重厚感は、若い頃の尖った情熱が熟成され、深みへと昇華した証しと言えるだろう。
若い頃の佐藤浩市を知る映画ファンは、彼の年齢を重ねた姿に過去の鋭い面影を見出す。『64-ロクヨン』で見せた広報官としての苦悩と毅然とした態度は、デビュー作『青春の門』で見せたあのがむしゃらな情熱と地続きなのだ。男が男として懸命に生きる姿を体現し続けること。それこそが、若い頃から一貫して変わりつづけない佐藤浩市の真骨頂である。