『刃牙』シリーズにおいて、門下生100万人を誇る巨大組織として描かれる「神心会空手」。この流派の創設者である愚地独歩には、実在の伝説的武道家という明確なモチーフが存在する。実戦を重視するフルコンタクト空手の礎を築いた極真会館の創始者・大山倍達氏だ。
板垣恵介氏が描く独歩の立ち振る舞いや、猛虎を素手で倒したという「虎殺し」の逸話は、大山氏が遺した数々の伝説へのオマージュに満ちている。空手を単なる競技ではなく、生き様としての武術へ昇華させた哲学は、作中の神心会空手にも脈々と受け継がれている。ファンを惹きつけてやまないリアリティは、現実の武道史に根差した深みから生まれているのだ。