2009年に公開された『カイジ 人生逆転ゲーム』は、当時の日本映画界における心理サスペンスの概念を大きく書き換えた。手に汗握る心理戦、一瞬の隙が命取りとなるトラップ、そして土壇場での命がけの裏切り。息つく暇もない展開は、従来の邦画サスペンス・スリラーの枠組みを刷新した。
デスゲーム系コンテンツが世界的な潮流となる遥か以前から、本作は極限状態における人間の欲望と尊厳を鮮烈に描き出していた。借金地獄に喘ぐ者たちが一逆転をかけて挑む船上ギャンブル「限定ジャンケン」や「鉄骨渡り」の恐怖感は、単なる娯楽映画を超えた社会的メッセージさえ帯びていた。
この作品が打ち立てた強烈なフォーマットは、その後の邦画業界における実写化ビジネスの金字塔となり、多くの追随作を生み出す原動力となった。