なぜ、彼の蒼紫はこれほどまでに魅力的だったのか。それは、伊勢谷自身が持つ「光と影」のコントラストが、キャラクターの精神性と奇跡的なシンクロを見せたからに他ならない。かつて最強と謳われながらも、時代の波に取り残され、部下を失い、ただ復讐のためだけに生きる修羅となった男。
その崩壊していく精神世界を、伊勢谷は冷徹な眼差しと、時折見せる痛々しいまでの激情で表現した。ただの格好良いキャラクターではない。泥をすすり、プライドをズタズタにされながらも、なお闘うことをやめられない人間の弱さと強さ。それを見事に描ききった。