江崎グリコ事件の象徴的なビジュアルとして語り継がれているのが、モンタージュ写真で有名な「キツネ目の男」です。
1984年6月28日の丸大食品脅迫事件において、国鉄(現JR)高槻駅から京都駅に向かう電車内で現金の受け渡し監視役とみられる不審人物が目撃されました。細身で鋭い目つき、頬骨が高く突き出たその男は、後に同年11月14日のハウス食品脅迫事件でも名神高速道路の大津サービスエリアで捜査員と至近距離で遭遇しています。しかし、滋賀県警との連携不備や追跡体制の遅れにより、男の身元特定や拘束には至りませんでした。現在もこの男の行方は分かっておらず、すでに他界しているのか、あるいは名前を変えて社会に潜伏しているのか、真相の闇に包まれています。
さらに世間に大きな衝撃を与えたのが、指示テープに吹き込まれていた「子供たちの声」です。犯人グループは身代金の受け渡し場所を指定するカセットテープに、小学生前後の男児と女児の声を使って録音させていました。
「きょうとへ むかって、いちのせばしを ひだりへ まがれ」といった無邪気な子供の音声が無機質に流れる不気味さは、日本中のお茶の間を凍りつかせました。犯人の親族や近親者の子供が利用されたと推測されていますが、大人になった彼らが自らの声が凶悪犯罪に使われた事実に気づいているのか、精神的トラウマを抱えていないかなど、現在も懸念と追跡調査の対象となっています。