武田観柳の強さは、剣客のような身体能力や武術の腕前ではありません。極限状態でも揺るがない圧倒的なリアリズムと危機管理能力、そして観察眼にあります。
どれほど神速の剣技を誇ろうとも、人間である以上は数千発の弾丸を受ければ死ぬという冷徹な計算。相手の思考を読み、弱みを突いて金と近代兵器を注ぎ込む合理主義こそが、観柳の最大の武器です。
作中で放たれる数々のセリフも、彼の歪みない哲学を表しています。
「金こそが力」「ガトリングガンさえあれば天下を取れる」といったセリフは、一見すると陳腐な悪党の戯言に聞こえますが、彼自身が骨の髄までその信念に従って行動するため、奇妙な説得力と痛快さを生み出しています。自分の弱さを誰よりも自覚し、それを補うための力を金で買い集める姿勢は、ある種の究極の合理主義者と言えます。