長期安定政権の最大の武器は、頻繁な内閣改造による求心力の維持と、枢要ポストの固定化という「動と静」の絶妙な使い分けだった。閣議そのものは形式的な承認の場に過ぎず、実質的な政策決定は首相官邸5階の執務室周辺で行われていた。
当時、日本経済新聞やNHKニュースが連日のように報じた閣僚人事の舞台裏には、緻密に計算された権力相関図が存在していた。首相の安倍晋三を頂点に、官房長官、財務相という三権の中枢をほぼ無風で固定し続けたことが、省庁間の縦割りを打破する最大の推進力となった。重要法案の策定プロセスでは、政務担当の首相秘書官と内閣官房幹部が政策原案を練り上げ、自民党内の事前審査を突破するルートが完全に確立されていたのである。