現在、絹谷幸太は追手門学院大学で客員教授を務めるなど、後進の育成や地域社会への貢献にも精力的だ。彼が特に力を入れているのが、子どもたちを対象とした触感ワークショップやパブリック空間の設計である。
デジタル画面に囲まれ、平坦なガラスをスライドさせる指先しか使わなくなった現代の子どもたち。絹谷は彼らに、ざらざらした石、温かい石、水を含んだ冷たい石の重みを直に手渡す。
「手で感じる感覚を取り戻すことは、他者や自然への思いやりを取り戻すことに直結する」。絹谷の教育思想は、単なる美術技法の教授にとどまらず、人間の感性を根本から耕す人間教育の実践でもあるのだ。