テジクッパの存在を世界的なカルチャーシーンへ決定的に押し上げたのは、映画と配信メディアの影響力だ。韓国を代表する名優ソン・ガンホが主演を務めた大ヒット映画『弁護人』では、貧しい青年時代を支えてくれたクッパ屋の女将との絆が描かれ、劇中で彼が夢中で頬張るテジクッパの湯気は観客の胸を激しく揺さぶった。ソン・ガンホ演じる主人公が丼にかき込む姿は、単なる食事シーンを超え、人情と正義のメタファーとして観る者の記憶に刻まれた。
さらに近年、Netflixの人気ドキュメンタリー『ストリート・グルメを求めて: アジア』などの世界配信コンテンツが釜山のローカルフード特集を組んだことで、その熱気は国境を越えて拡散した。大鍋がぐつぐつと煮え立つオープンキッチンの迫力、手際よく肉を切り分ける職人の手さばきが美しい映像で紹介されると、欧米やアジア圏のトラベラーが「あの丼を食べるためだけに釜山へ行く」と熱狂する現象が定着した。スクリーン越しに伝わる本物のシズル感こそが、テジクッパをグローバルなバケットリストへと押し上げた立役者である。