現代のクラフト陶芸シーンにおいて、異彩を放つ存在感を持つ長谷川風子。彼女の作る陶磁器は、ただ料理を盛るための道具にとどまらない。土という力強い素材の上に、どこか懐かしく、そして微かな哀愁を帯びたドローイングが施されている。
手のひらに収まる小さなマグカップ一つをとっても、そこに描かれた動物たちの表情は実に豊かだ。静寂の中で耳を澄ませるウサギ、羽を休める鳥たち、風にそよぐ未知の植物。手にした者は、毎日の暮らしの中で、ふとした瞬間にその描線へと引き込まれる。
日本国内の伝統的な焼き物産地である益子や笠間の空気感を背景にしながらも、古典的な陶芸の型にとらわれないフレッシュな美意識を確立。個人のクラフト作家としての地位を確固たるものにしている。