アルミ缶のスクラップ相場が乱高下する背景には、明確な経済的・構造的要因が存在します。アルミ缶は単なるゴミではなく、世界中で取引される国際商品(コモディティ)と直結しているためです。
価格を左右する最大の要因は、ロンドン金属取引所(LME)のアルミニウム地金相場と為替レート(円安・円高動向)です。アルミニウムの新規製錬には膨大な電力が必要であり、「電気の缶詰」と呼ばれるほど製造コストの多くをエネルギー費が占めます。世界的な電力コスト高や脱炭素(GX)の流れの中で、新地金を精錬するよりも、使用済みアルミ缶を溶かして再利用する「水平リサイクル(Can to Can)」の需要が世界規模で急増しました。
再生アルミは、新地金をボーキサイトから製造する場合に比べて消費電力を約97%削減できます。自動車の軽量化に伴うアルミ需要の増加や、飲料メーカー各社によるリサイクル材使用比率の引き上げ目標が、アルミスクラップ相場を下支えする決定打となっているのです。