大相撲において「金星」と呼ばれる白星には、日本相撲協会が定める厳格な規定が存在します。対象となるのは、幕内の「前頭(平幕)」の地位にある力士が、本場所の取組で現役の「横綱」を破った場合のみです。
たとえ格下の力士が最高峰を倒す大金星であっても、十両や幕下の力士が対戦して勝利したケース(巡業の稽古や特別なエキシビション等を除き、本場所で対戦が組まれること自体が極めて稀)には適用されません。また、横綱が休場して不戦勝となった場合も「実際に土俵上で取組を行って勝ったわけではない」ため、金星の権利は発生しないルールとなっています。
ファンからよく挙がる疑問が、「なぜ小結や関脇が横綱を倒しても金星がつかないのか?」という点です。大相撲の番付社会において、小結・関脇・大関からなる「三役」は、横綱と互角に渡り合うことが義務づけられた最高峰のエリート集団とみなされます。三役力士にはあらかじめ相応の役職手当や高額な月給が支払われており、横綱を倒すことは「責務の範囲内」と評価されるため、特別ボーナスである金星は付与されません。金星とは、あくまで番付下位の平幕力士が番付の頂点を覆したことに対する特別な恩賞なのです。