二人が世を去ってから月日が流れた今も、芸能関係者や共演者からは二人を偲ぶ温かいエピソードが絶えません。現場では厳格で妥協を許さない名優・津川さんが、朝丘さんの前では少年のように柔和な笑顔を見せていた姿は、多くの仲間の記憶に残っています。
朝丘さんが認知症を患って以降、津川さんは撮影の合間を縫っては自宅へ戻り、妻の手を握りながら語りかけていたといいます。世間体を気にすることなく、ただ一人の女性への愛を貫き通した姿勢は、現代における夫婦のあり方や介護の向き合い方にも大きな示唆を与えています。
死が二人を分かつのではなく、死さえも二人を分かつことができなかった――そう思わせるほどの美しい幕引きでした。