日本のライブ配信文化を語る上で、彼が主宰する『暗黒放送』を避けて通ることは不可能だ。黎明期のニコニコ生放送において、彼の枠は常に狂乱の中心地だった。Webカメラ一台と粗末なマイク、画面を埋め尽くす弾幕コメント。そこには現在のストリーミングカルチャーの原型がすべて詰まっていた。
彼が確立したのは、いわゆる雑談配信の文法そのものである。特別なスキルを披露するわけではない。世間のニュースへの毒舌、日常の不条理への激昂、リスナーとの終わりのない煽り合い。日常の鬱屈をネットの空間に投げ込み、化学反応を起こす。誰もが真似しようとして火傷を負った危険なスタイルを、彼は自身の肉体を削りながら完成させた。
「コメント職人」と呼ばれる視聴者たちとの濃密な共犯関係。罵倒され、嘲笑されながらも、リスナーは彼という存在から片時も目を離せなかった。視聴者が配信者を育て、配信者が視聴者を煽る。その双方向の熱量は、既存のテレビメディアが完全に失っていた熱気そのものだった。