本名、ヒソカ=モロウ。所属も出自も定かではない。彼を動かす原動力は世界征服でも復讐でもなく、極限状態での殺し合いから得られる刹那の快楽だけだ。「薄汚い人間が壊れる瞬間が好き」なのではなく、「己が認めた強者が最も輝く瞬間にその命を刈り取る」ことにしか興味を示さない。この倒錯した嗜好こそが、彼を少年漫画史における唯一無二のアンチヒーローへと押し上げた。
成長途中の獲物を見逃し、機が熟すのをじっと待つ。ゴンやキルアに向けられる視線は、愛情と殺意が未分化のまま煮え滾ったものだ。妥協を許さない気まぐれさ、嘘と真実を等価に扱う舌先。彼の行動原理には一切の濁りがない。だからこそ予測不能であり、登場するだけで紙面に張り詰めた緊張感が走る。