時任三郎のキャリアを語る上で欠かせないのが、TBSテレビが制作した数々の名作ドラマだ。中でも『ふぞろいの林檎たち』で共演した中井貴一とのタッグは、視聴者の心に強い印象を残した。脚本家・山田太一が紡ぎ出すリアルな台詞回しの中で、不器用な青年たちの友情と摩擦を、二人は見事に演じきってみせた。
現場での二人は、互いの演技を高め合う良きライバルであり、戦友のような関係だったという。当時はNGを出せない緊張感あふれるスタジオ撮影が当たり前。若き役者たちがぶつかり合いながら作り上げた空気感は、画面越しにも熱量として伝わっていた。後年になっても語り継がれる二人の息の合った掛け合いは、まさに日本のドラマ史に残る黄金コンビの誕生を予感させるものだった。