東京タワーを「甘美で残酷な大人の恋」の代名詞へと昇華させたのは、間違いなく作家の江國香織だ。彼女の手による傑作小説は、許されない恋に身を焦がす男女の息遣いと、夜空に浮かぶタワーの冷徹な美しさを見事に重ね合わせた。この世界観は映像制作業界にも決定的な影響を与え、何度も映像化されては視聴者の心を奪ってきた。
記憶に新しいところでは、テレビ朝日で制作された連続ドラマ版において、永瀬廉が主人公の医大生・透役を熱演したことが大きな話題を呼んだ。少年から大人へと脱皮する危うい色気と、年上の女性への狂おしい執着。彼が見せた繊細な演技は、江國香織が描いたクラシックな名作に令和ならではの鋭いエッジを吹き込んだ。窓越しに見えるタワーのライティングが、登場人物たちの揺れ動く感情と見事にシンクロし、令和を代表する恋愛ドラマの金字塔として今も語り継がれている。