彼がこれまでに刻んできた足跡を見れば、そのストイックさがどれほど作品の質を高めてきたかがわかる。超大作サスペンス映画『64-ロクヨン』で見せた広報官としての葛藤と執念。日本アカデミー賞協会からも高く評価されたあの演技は、観る者の胃を締め付けるような迫力に満ちていた。
さらに、ボクシングを通じた男たちの絆を描いた名作『春に散る』では、老境に差し掛かった元ボクサーの悲哀と熱量を全身で表現。魂を揺さぶる重厚なヒューマンドラマにおいて、彼の存在は作品の屋台骨そのものだ。肉体そのものを削り落として役柄と同化する表現スタイルが、作品に類稀なる重厚感を与えている。