理解可能なインプットを蓄積した上で、音声知覚の自動化を劇的に推し進めるトレーニングが「シャドーイング」だ。耳から聞こえてくる音声を、影(シャドー)のように少し遅れてほぼ同時に発声するこの訓練法は、同時通訳者の養成だけでなく、一般的な学習者にとっても極めて強力な武器になる。
日本の第二言語習得研究を牽引してきた関西学院大学の門田修平教授の研究によると、シャドーイングを反復することで脳内の「音韻ループ」が強化され、音声知覚の自動化が達成される。音が無意識に言葉として認識されるようになれば、脳の認知リソースが解放され、自分が言いたい内容を構築する「概念化」や「文章化」へとエネルギーを集中させることが可能になる。ただ声に出すのではなく、プロソディ(リズムや抑揚)を正確に模倣することが、舌と脳を直結させる決定打となる。