渋谷の「中華麺店 喜楽」を語る上で外せない最大のアイデンティティが、漆黒のスープの表面に無数に浮かぶ「焦がしネギ(揚げネギ油葱酥=ツォントンソー)」です。一般的な東京ラーメンが鶏ガラと煮干しをベースとしたすっきりとした醤油味であるのに対し、喜楽のスープは一口啜った瞬間に香ばしいビター感と深い甘み、そして力強いコクが口内全体に広がります。
創業者が台湾出身であった歴史的背景から、本場の調理技法であるエシャロットやネギをじっくりとラードで揚げ分ける手法が取り入れられました。この揚げネギから抽出された香味油が、豚骨と鶏ガラから丁寧に煮出された澄んだ清湯スープと合流することで、あっさりしていながらも重層的なパンチを持つ独自の「渋谷ラーメン」の骨格が形成されています。
さらに、この力強いスープを受け止めるのが、特注の中太ストレート平打ち麺です。一般的な細縮れ麺とは異なり、しっかりとした厚みともちもちとした弾力があり、高温のラードで蓋をされた熱々のスープの中でも最後まで伸びることなく、小麦の風味を力強く主張し続けます。