精肉売り場を観察すると、もも肉やむね肉、未加工の手羽元は山積みにされている一方、チューリップ状に加工された鶏肉を見かける機会はほとんどありません。大手食肉卸業者の流通データや精肉現場の声を取材すると、そこには精肉業界における構造的な人件費の変化が存在しています。
かつて昭和から平成初期にかけては、店内のバックヤードに専属の職人が常駐し、手作業で手羽元の筋を外してチューリップに成形していました。しかし、店舗オペレーションの省人化やアウトソーシングが進んだ現在、1本ずつ手作業で裏返す工程は極めて高い人件費コストを生じさせます。加工賃を上乗せすると販売価格が跳ね上がり、消費者の購買ラインを超えてしまうため、多くのスーパーが取り扱いを縮小したのが真相です。
ネット上では「製造中止になったのでは」「何か衛生上の理由があるのか」といった憶測も飛び交っていますが、製品自体の需要がなくなったわけではありません。割安な手羽元や手羽先を購入し、自宅で下処理を行うスタイルへとシフトした家庭が増加しています。