お箸の持ち方や扱い方は、その人の育ちや日頃の意識が最も顕著に現れる部分だ。特に和食の席において絶対にあってはならないのが、古くから禁忌とされる嫌い箸である。
例えば、どの料理を食べようか迷って箸を器の上でウロウロさせる「迷い箸」や、器を箸で手前に引き寄せる「寄せ箸」、お料理に突き刺して口に運ぶ「刺し箸」は、無意識のうちにやってしまいがちな代表例だ。さらに、箸先を舐める「ねぶり箸」や、人とお箸同士で食べ物をやり取りする「拾い箸」はマナー違反となる。
正しいお箸の取り上げ方は、まず右手で上から持ち上げ、左手を下から添え、最後に右手を正しく持ち替える「三段階の所作」を経る。この一連の動きを無駄なくスムーズに行うだけで、立ち振る舞いに洗練された品格が宿る。