日本における拡大観察の普及と診断学の確立において、信州大学名誉教授の斎田俊明医師の貢献を外して語ることはできない。日本人の手足の裏に多く発生する末梢性の悪性黒色腫(メラノーマ)において、斎田教授が提唱した「色素線条パターン分類」は、世界の皮膚病理学に巨大な影響を与えた。皮膚の溝(sulcus)に色素が乗るか、丘(ridge)に色素が乗るかというシンプルな鑑別アルゴリズムは、早期発見の黄金律として世界中で採用されている。
現在、日本皮膚科学会が策定する『皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン』においても、皮膚病変の初期評価において本検査を実施することが強く推奨されている。ガイドラインの改訂を重ねるごとに、病変のサイズが数ミリ程度の極小期であっても、標準化されたスコアリングシステムに基づいて即座にリスク評価が行える体制が全国のクリニックへ波及した。