物語の幕開けは、あまりにも唐突で凄惨です。荒川区の河川敷で見つかったホームレスの焼死体と、葛飾区のアパートで発見された滋賀県在住の女性・押谷道子の絞殺体。一見、何の繋がりもないように思える二つの事件を結びつけたのは、美しき舞台演出家・浅居博美(松嶋菜々子)の存在でした。
捜査を担当する加賀恭一郎は、事件現場に残されたカレンダーの筆跡に目を留めます。それは、かつて自分を捨てて孤独死した母・百合子の愛人だった「綿部俊一」のものである可能性が浮上したからです。なぜ、母の過去を知る男の影が、現代の殺人現場に落ちているのか。加賀自身のルーツを辿る個人的な追跡が、事件の核心へと肉薄していきます。