「台所では熱いお湯が出るのに、浴室のシャワーだけ水しか出ない」「洗面所だけぬるま湯のまま温度が上がらない」というケースは、給湯器側のトラブルではありません。水栓金具内部の温度調節機構であるサーモスタット混合水栓故障を疑う必要があります。
現代の浴室に広く採用されているサーモスタット混合水栓は、内部に組み込まれた「温調カートリッジ(形状記憶合金バネやワックスエレメント)」が、給湯管からの熱湯と給水管からの冷水の混合比率をミリ単位で自動調整しています。しかし、設置から7〜10年が経過すると、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウム成分(スケール)の結晶化やサビの付着により、カートリッジ内部のスライダーが物理的に固着します。その結果、バルブが「水側」に固定され、給湯器から設定通りの熱湯が配管まで送られてきていても、吐水口からは冷水しか出なくなるのです。
また、水栓根元にある「ストレーナー(フィルター)」に配管ゴミやサビが詰まることで給湯流量が規定値を下回り、給湯器の着火最低流量(ミニマムフローレート:通常毎分2.0〜2.5リットル程度)に届かず、着火自体が行われない盲点も現場では頻繁に見受けられます。