京都人の高い珈琲消費量を支えてきたのが、地元発祥の重鎮ブランドだ。1947年創業の株式会社イノダコーヒは、「京都の朝は、イノダコーヒの香りから」と称されるほど市民生活に定着している。ネルドリップで丁寧に抽出される深煎りの「アラビアの真珠」は、ミルクと砂糖をあらかじめ入れて提供する独自のスタイルの原点でもある。
一方で、コーヒー職人の育成や高品質な豆の探求を追求してきた株式会社小川珈琲もまた、京都の珈琲文化を世界レベルへと押し上げた立役者だ。また、こうした大手ブランドと並行して、昭和の面影を色濃く残す純喫茶の存在感が際立っている。アンティークな調度品、壁に刻まれたセピア色の記憶、心地よい静寂。単なる飲食店という枠を超え、文化の継承地として機能している。