同じ「佐々木のフォーク」と呼ばれながらも、大魔神・佐々木主浩と佐々木朗希のボールには、その握りとボール挙動に明確なスタイルの違いが存在します。
佐々木主浩のフォークは、人差し指と中指の間にボールを深く挟み込む、いわゆるクラシック・フォークの究極形でした。指の第二関節近くまで深く挟み、リリースの瞬間に手首を固定したまま「ボールを前へ押し出す」ように抜くことで、回転をほぼ完全に殺します。大魔神のフォークの真骨頂は、指の圧力を左右で微調整することで、打者の手元でシンカー方向に落ちる球と、スライダー気味に外へ逃げながら落ちる球を投げ分けられた点にありました。
対して佐々木朗希の握りは、人差し指と中指を縫い目の外側にかけ、やや浅めに挟み込む高速スプリット型(スプリット・フィンガー・ファストボール)に分類されます。完全なフォークほど深く挟まないため球速が落ちず、160km/hに迫る腕の振りの遠心力をそのままボールに伝えることができます。人差し指の腹でボールを強く押し込みながら中指の間から滑り出させる独特のリリースコツにより、強烈な直進エネルギーと急激な垂直落下を両立させています。