教育現場の疲弊がSNSや大手ニュースのコメント欄で拡散されるにつれ、「教員は民間よりも低賃金で悲惨な仕事だ」という極端な言説が目立つようになりました。しかし、客観的な長期金融資産の観点から分析すると、これは一面的な誤解を含んでいます。
まず注目すべきは中学校教員の退職金相場です。定年まで35年以上勤め上げた場合の退職手当は、地方自治体の財政規模により多少の差はあるものの、約2,000万〜2,200万円が支給されます。退職金の減額や確定拠出年金への移行が進む民間中小企業と比較すれば、現在でも極めて強固な退職給付水準を保っています。
さらに、毎年の定期昇給が公務員法によって法的に担保されており、景気後退期であってもリストラや大幅な減給のリスクが存在しません。生涯年収を推計すると、22歳から60歳までの38年間で約2億4,000万〜2億6,000万円に達し、再雇用や65歳定年延長を視野に入れれば生涯賃金はさらに伸長します。ネット上で叫ばれる「割に合わない」という表現は、「生涯所得の絶対額が低い」という意味ではなく、「20代〜30代の若手・中堅期に集中する過酷な拘束時間とプレッシャーに対し、月々のキャッシュフローとして還元される給与が見合っていない」という時間単価の歪みを指している点を見落としてはなりません。