アニメ『サザエさん』のエンドロールを見ていると、ある特殊なクレジットに目が留まります。サザエ役やカツオ役などのキャスト名が並ぶ中、「タマ:?」とクエスチョンマーク(はてな)で表記されている点です。長年ファンの間では「専属の大物声優が変名で演じているのではないか」「実在する猫の声をスタジオで録音しているのでは」など、様々な憶測が飛び交ってきました。
音響制作関係者の証言や過去の番組解説によると、タマの愛らしい「ニャーン」という鳴き声は、生身の声優が毎回アフレコブースで演じているのではなく、専用に加工・アーカイブされた効果音(SE・音声ライブラリ)が使用されています。初期の放送回では声優がアドリブで声を当てていた時期もありましたが、キャラクターのイメージを統一し、時代が変わっても同じ愛らしさを保ち続けるために音源化されたデータが受け継がれているのが実態です。
あえてクレジットを「?」と伏せている演出は、視聴者の夢やイマジネーションを壊さないための制作陣による粋な遊び心です。「タマはタマ自身が喋っている」という世界観を守るための演出手法であり、この神秘性こそが長年視聴者の興味を引きつける要因となっています。