大衆文化において、特進は常に劇的なクライマックスを演出する定番の舞台装置だった。『機動戦士ガンダム』におけるガルマ・ザビ戦死後の国葬と昇進劇、あるいは国民的アニメ『名探偵コナン』で描かれる殉職警官たちの重厚な過去回想など、フィクションは常にこの制度をドラマの起爆剤として利用してきた。社会現象となった映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』でも、湾岸署の面々が直面する過酷な現場とキャリア制度の歪みの中で、特進という言葉が持つ重みが象徴的に扱われている。
Netflixをはじめとするグローバル配信サービスで支持を集める現代の警察・ミリタリードラマでも、特進はしばしば「英雄の死を悼む免罪符」のように美化されがちだ。しかし、映像作品が描く劇的なヒロイズムと、現場官僚が淡々と進める事務手続きの間には大きな隔たりがある。創作物がスポットライトを当てるのは名誉の輝きだが、現実の組織が向き合っているのは、冷酷なまでに事務的な殉職認定と、欠員補充のための冷徹な人事異動に他ならない。