地球のタイムスケールで見れば、この山のアクティビティは極めて高頻度だ。1910年、1944年、1977年、そして2000年有珠山噴火。およそ20年から50年の周期で大規模な噴火を繰り返してきた歴史が証明するように、この地域において「安全な静寂」は永遠には続かない。火山学や地質学の知見によれば、マグマ溜まりへのエネルギー充填は着実に進んでいる。
かつて北海道大学の名誉教授である岡田弘氏は、緻密な観測データと地域社会への泥臭いリスクコミュニケーションを融合させ、「嘘をつかない火山」としての性質を見抜いた。有珠山は噴火の直前に必ず数千回に及ぶ前兆地震を発生させ、地殻を押し持ち上げる。2000年の噴火時には、この前兆現象を捉えることで奇跡的な「犠牲者ゼロ」の全員避難を成し遂げた。だが、次の噴火がまったく同じシナリオを辿る保証はどこにもない。