物語の起点となるのは、イギリスののどかな田舎町。34歳の主人公ベン・チェンバースは、両親を不慮の自動車事故で同時に失ったショックから立ち直れず、獣医になる夢も捨てて無気力な日々を送っていた。弁護士としてバリバリ働く妻エイミーはそんな夫に愛想を尽かしかけ、夫婦仲は冷え切っている。
そんなある朝、自宅の庭(ガーデン)の四阿(あずまや)で、ベンは奇妙な物体を発見する。そこにいたのは、ドラム缶のような胴体にシルバニアファミリーの家具の脚をつけたような、ボロボロの小さなロボットだった。胸には四角いピンクの布が粗い縫い目で縫い付けられ、言葉は「タング」と自分の名前らしき単語を繰り返すばかり。デボラ・インストールの原作小説では、この出会いがベンの止まっていた時間を大きく動かしていく。
愛らしい外見とは裏腹に、タングの行動はやんちゃな人間の幼児そのものだ。泥遊びをして部屋を汚し、何にでも興味を示してはトラブルを起こす。激怒したエイミーはついに家を出てしまい、絶望したベンはタングを修理して元の持ち主に返すため、手がかりを求めてイギリスからアメリカ、そしてロボット先進国である日本へと旅立つ決意を固める。