赤い元禄橋を渡ると、まるで時代を数百年タイムスリップしたかのような錯覚に陥る。1694年創業の「積善館本館」は、現存する日本最古の木造湯宿建築として群馬県の重要文化財にも指定されている。
ギシギシと鳴る廊下、長年磨き上げられた手すり、大正浪漫の雰囲気を色濃く残す「元禄の湯」。アーチ状のモダンな窓から差し込む光が、浴槽の湯面に柔らかく反射する。歴史の重みを肌で感じながら浸る湯は、ただ体を温めるだけでなく、精神の澱(おり)までも洗い流してくれるようだ。歴史的価値を守りつつ、快適な滞在環境をアップデートし続ける宿の姿勢が、本物を知る大人たちの心を捉えて離さない。