彼の魅力を語る上で、卓越した演技力は外せない。冷酷なヤクザの幹部から、部下を温かく見守る医師、さらにはどこか哀愁漂う父親役まで、その役幅の広さは驚異的だ。どんなに泥臭い役や悪役を演じていても、どこか上品で知的な香りが漂うのは、椎名桔平という役者自身が持つ資質によるものだろう。
スクリーンの中で彼がふと見せる微笑みや、タバコを燻らす手元、あるいは沈黙の瞬間の視線の動き。そうした細部に宿る色気が、視聴者を物語の世界へ引き込んでいく。役柄になりきりながらも、自身の持つ「イケメン性」をスパイスとして効果的に機能させる技術は、長年のキャリアが生み出した職人技と言える。