この名勝負の心理描写を鮮烈に切り取ったのが、山際淳司のスポーツルポルタージュ『江夏の21球』だ。雑誌『Sports Graphic Number』の創刊号に掲載されたこの作品は、試合中の投手の内面や葛藤を洗練された文章で描写し、日本のスポーツライティングに革命をもたらした。スポーツを単なる試合結果ではなく、緻密なドラマとして表現する新たな枠組みを作り上げたのである。
さらに、テレビメディアでもNHKスペシャルをはじめとする数々の名作スポーツドキュメンタリーが制作され、彼の軌跡が探求されてきた。彼を題材にした優れたノンフィクション書籍や映像作品は、勝利の栄光だけでなく、挫折や孤立、苦悩までも隠さずに描いている。人間味あふれるストーリーだからこそ、スポーツの枠を超えた人間ドラマとして、長年にわたり人々の胸を打ち続けている。