進学やプロ入りを控えた高校生ラガーマンとその保護者が直面する最大のハードルは、「費用負担」「競技継続の環境」「将来のキャリア形成」のバランスをいかに取るかという点です。
大学ラグビーの強豪校で競技を続ける場合、4年間の学費に加えて寮費、遠征費、サプリメント代など多額の費用が発生します。フルスカラシップ(学費・寮費全額免除)の特待生として迎えられるのは、高校日本代表ラグビー進学における最上位層(全体の数パーセント)に過ぎません。多くの選手は一部免除、あるいは一般学生と同様の学費・寮費を負担しながら過酷なトレーニングに励むことになります。
また、強豪大学へ進学した後の「ドロップアウト(部内競争での埋没)」を懸念する声も現場では頻繁に聞かれます。1学年に15〜20名以上の有力選手が入部する伝統校では、4年間で公式戦のAチームはおろか、ジュニア選手権(Bチーム)のジャージに一度も袖を通すことなく引退を迎える選手が少なくありません。
こうした実態を受け、あえて関東対抗戦・リーグ戦の2部上位校や関西の躍進大学、地方の国立大学(筑波大学など)を選び、1年次から多くの出場機会を得て成長を目指す選択をする選手が確実に増えています。「ネームバリュー」から「実践機会の最大化」へ、現場の価値観は着実にシフトしています。