チコちゃんの声を担当しているのは、「キム兄」の愛称で親しまれるお笑いタレント・放送作家の木村祐一です。これは番組初期からオープンにされている事実ですが、なぜあえて彼が起用されたのかには明確な演出意図が存在します。
チコちゃんの魅力は、大人顔負けの博識さと、予定調和を許さない辛辣なツッコミにあります。大物ゲストに対しても物怖じせず、絶妙な間合いで切り込める瞬発力を持つ人物として、数々のバラエティで構成作家やひな壇の猛者として活躍してきた木村祐一に白羽の矢が立ちました。
収録時、木村祐一はスタジオ内の別ブースにスタンバイし、スタジオのマルチアングル映像を専用モニターで凝視しています。専用マイクに向かって発声した肉声は、リアルタイムピッチシフター(ボイスチェンジャー)を経由して瞬時に周波数が変調され、甲高い少女の声となってスタジオのスピーカーから鳴り響きます。カンペを読むだけでなく、ゲストの些細な表情変化を拾って即座にイジる職人芸的なアドリブ力こそが、チコちゃんに唯一無二の生命感を吹き込んでいます。