勝負の行方を左右するのは、個人の身体能力だけではない。セコンド陣が練り上げる綿密なゲームプランと、リング上での「0.5秒」の修正能力である。相手の癖を徹底的に分析し、間合いの攻防を制するための戦略が、水面下で過酷に練り上げられている。
離れて打撃を叩き込みたい側は、テイクダウンのフェイントにいかに惑わされず自らの距離を保てるか。一方、組みたい側は、相手の打撃のプレッシャーをいかにかいくぐって組み付き、得意の形に引きずり込めるか。この空間の支配権を巡る心理戦こそが、格闘技というスポーツの最も奥深い醍醐味と言える。