2人のキャリアにおいて、世界の記憶に最も強く焼き付いているのが2度の冬季オリンピックです。
2010年バンクーバー五輪:完成度の極致と3アクセルの金字塔
バンクーバーの舞台は、2人のスケート哲学が最高潮で激突した大会でした。キム・ヨナはSP『007』、FS『ピアノ協奏曲ヘ調』で完璧な演技を披露し、当時の世界最高得点となる228.56点で悲願の金メダルを獲得。一方の浅田真央は、女子シングル史上初となるショートとフリーで合計3度のトリプルアクセル成功というギネス記録を樹立し、銀メダルを手にしました。表彰式で見せた悔し涙と誇らしさは、スポーツ界の名場面として今も語り継がれています。
2014年ソチ五輪:絶望からの大逆転フリーと幕引き
4年後のソチ五輪では、劇的なドラマが生まれました。SPでジャンプの失敗が重なり16位と出遅れた浅田真央は、翌日のフリーにおいてラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番』に乗せ、トリプルアクセルを含むすべてのジャンプを着氷。自己ベストを更新する圧巻のノーミス演技を完遂し、演技直後に天を仰いで流した大粒の涙は、世界中のファンの心を震わせました。
同じ大会で銀メダルを獲得したキム・ヨナは、大会後に引退を表明。競技の場での直接対決はここで終焉を迎えましたが、2人が残した熱量は、フィギュアスケートの歴史そのものを一段高いステージへと押し上げました。