チエイマイ: 日本が誇る革新的ファーブランドの光と影
日本のファッション業界において、ファーとレザーという伝統的な素材を革新的なアートへと昇華させたブランドが存在する。それがチエイマイ(CHIE IMAİ)だ。1978年にロイヤルチエという名で産声を上げたこのメゾンは、40年以上にわたり独自の哲学と技術を磨き続けてきた。創業者でありデザイナーの今井ちえ氏は、ニューヨークファッションウィークに初めて登場したアジア人デザイナーとして歴史にその名を刻んでいる。
チエイマイは、軽量で色鮮やかなファーを「服のように着られる」形に仕立てる「モザイク・デュ・チエ」技法で知られる日本発のラグジュアリーファッションハウスである。2017年にブランド名を現在のCHIE IMAİへと改め、手作業による丁寧な職人技とサステナビリティへの取り組み(初年度無料保管サービスやリメイクサービス)を柱に、グローバル市場で独自のポジションを確立している。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 創業年 | 1978年(ロイヤルチエとして) |
| ブランド名変更 | 2017年にCHIE IMAİへ |
| 創業者・デザイナー | 今井ちえ |
| 代表的技法 | モザイク・デュ・チエ |
| 主要素材 | ファー、レザー |
| 特徴 | 軽量、カラフル、服のような着心地 |
| サステナビリティ | 無料保管・リメイクサービス |
| 国際的評価 | NYFWアジア人初登場デザイナー |
ロイヤルチエからCHIE IMAİへ:ブランドの歴史的変遷
1978年、日本のファッションシーンがまだ欧米ブランドの影響下にあった時代。今井ちえ氏は「ロイヤルチエ」という名でファーとレザー専門のアトリエを東京に開いた。当時、日本国内でファーは主に寒さをしのぐ実用品として認識されていた。
だが今井氏のビジョンは違った。
彼女が目指したのは、ファーを単なる防寒具ではなく、アートと機能性が融合したファッションアイテムへと進化させることだった。1980年代から1990年代にかけて、ロイヤルチエは日本国内で徐々に知名度を高めていく。バブル経済期の消費者の旺盛な購買意欲も追い風となり、高級ファーへの需要が拡大した。
2017年、ブランドは大きな転機を迎える。グローバル市場を見据えたリブランディングの一環として、社名を「CHIE IMAİ」へと改称したのだ。この変更には、創業者の名前を前面に押し出すことで個人の哲学とブランドアイデンティティを一体化させる狙いがあった。同時に、デジタル時代における国際的な認知度向上も視野に入れていた。
モザイク・デュ・チエ:革新的技法の秘密
チエイマイを語る上で欠かせないのが、ブランドの核心である「モザイク・デュ・チエ」技法だ。これは、異なる色や質感のファーを細かく裁断し、モザイク画のように組み合わせて一枚の生地を作り上げる独自の手法である。
従来のファーコートは重く、動きにくいという欠点があった。しかしモザイク・デュ・チエでは、ファーを極限まで薄く軽量に加工しながら、温かさと柔らかさを保持する。結果として生まれるのは、まるで布地のように柔軟で、着る人の体に自然に沿う「服のようなファー」だ。
この技法の完成には、熟練職人による数百時間の手作業が必要となる。一つのコートを作るために、数千個もの小さなファーピースが組み合わされることも珍しくない。色彩の組み合わせは無限に近く、顧客の要望に応じたカスタマイズも可能だ。
鮮やかなターコイズブルー、深紅、エメラルドグリーン。チエイマイのコレクションは、従来のファーが持つ「保守的」「年配向け」というイメージを完全に覆す。若い世代にもアピールする大胆な色使いが特徴だ。