東京の和菓子シーンを牽引する3つの名店は、同じ「豆大福」という看板を掲げながらも、素材の配合や職人の哲学によって全く異なるアプローチをとっています。実際に食べ比べを行うと、その設計思想の違いは歴然です。
護国寺の群林堂は、赤えんどう豆の圧倒的な存在感で知られます。薄めの餅皮を突き破らんばかりにゴロゴロと練り込まれた豆は、ホクホクとしたしっかりめの歯ごたえと適度な塩気があり、北海道産小豆の風味を前面に押し出した濃厚な粒餡と鮮やかなコントラストを描きます。出版社の講談社が近隣にあることから、三島由紀夫や松本清張といった名だたる文豪たちが愛した手土産としても名高い逸品です。
対して、原宿の瑞穂が誇る豆大福は、きめ細かく厚みのある餅生地のふんわりとした柔らかさが際立ちます。中を割ると現れるのは、シルクのように滑らかで雑味のない極上のこし餡です。赤えんどう豆は控えめながら絶妙な塩加減で散らされており、餅の甘み、こし餡の上品な口溶け、豆のアクセントが見事な三位一体を成しています。
そして高輪の松島屋は、昭和天皇が好まれたことでも知られる宮内庁御用達の歴史を持ちます。餅米のしっかりとしたコシと力強い弾力を残した餅皮に、程よく効いた塩気が特徴です。中の粒餡はみずみずしく炊き上げられており、小豆本来の豊かな香りと赤えんどう豆の素朴な旨味が口いっぱいに広がります。