単刀直入に言えば、リンデロンVG軟膏を口内炎に使用することは禁忌に等しく、添付文書上も口腔内への適用は一切認められていない。本剤には優れた抗炎症作用を持つステロイド外用薬の成分であるベタメタゾン吉草酸エステルと、細菌感染を防ぐ抗生物質のゲンタマイシン硫酸塩が配合されている。
この強力な成分構成が、口内では仇となる。ステロイドが口腔内の局所免疫を抑え込むと、常在菌のバランスが崩壊し、カンジダ菌などの真菌が爆発的に増殖して「口腔カンジダ症」を併発するリスクが跳ね上がる。激痛に耐えかねて塗った薬が、かえって病態を悪化させる皮肉な結果になりかねない。さらに、抗生物質であるゲンタマイシン硫酸塩はウイルスや真菌には一切効果がなく、漫然とした誤用は耐性菌を生み出す引き金にもなる。