ふたりの出会いは1970年代の後半にさかのぼる。当時の奥田瑛二は、役者としての芽がなかなか出ず、公園のベンチで夜を明かすこともあるほどの売れない若手俳優だった。一方の安藤和津は、元首相・犬養毅の孫にあたる良家の令嬢。育った環境があまりにも異なるふたりだったが、知人のパーティで運命的な出会いを果たす。
猛アタックの末に結ばれたふたりの結婚生活は、波乱の連続だった。家賃にも事欠く過酷な生活のなか、安藤和津は夫の才能を誰よりも信じ続けた。周囲の反対を押し切って寄り添い続けた彼女の覚悟が、やがて奥田の役者魂に火をつけ、狂気すら漂わせる独自の演技派俳優としてのポジションを確立させていくことになる。