世代の輪郭をより鮮明にするため、都内の大学に通う現役学生や大手企業に勤務するZ世代社員への独自ヒアリングを実施しました。そこから浮かび上がったのは、先行世代が抱くステレオタイプとは異なる、冷徹なまでのリアリズムです。
都内私立大学に通う21歳の女子学生は、日頃の情報収集と購買フローについて次のように証言します。
「検索エンジンでググることはほとんどありません。コスメや洋服を探すときはInstagramで保存数の多い投稿をざっと見て、TikTokで実際の質感や使っている動画を複数確認します。さらに失敗したくないので、最後にX(旧Twitter)で酷評している人がいないかネガティブワードで検索をかけます。SNSは楽しむ場所であると同時に、企業側の宣伝文句に騙されないための防衛ツールです」
この証言が示す通り、Z世代の消費行動の核心には「絶対に失敗したくない」というリスク回避志向が存在します。かつてのようにテレビCMを見て直感で店舗に足を運ぶのではなく、動画プラットフォームやコミュニティ内のUGC(一般ユーザー投稿)を徹底的に精査した上で購入に踏み切ります。
また、タイパ(タイムパフォーマンス)を偏愛する背景にも独自の心理が働いています。動画を倍速で視聴し、音楽のイントロをスキップする行為は、単なる効率主義ではありません。情報過多の環境下において、「自分の限られた可処分時間を、本当にお気に入りのものだけに注ぎ込みたい」という純粋な自己防衛の表れと言えます。その結果、TikTokやYouTubeショートといった短尺動画を好みながらも、ひとたび熱狂したコンテンツやアーティスト(推し)に対しては、ライブ遠征や限定グッズに惜しげもなく時間と資金を投じる「メリハリ消費」が定着しています。